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その「食べたい!」は、本物ですか?
「ああ、もうダメ。甘いものが食べたい!」
「ストレスで、しょっぱいものが食べたくて仕方ない!」
食事に気をつけているのに、突然、どうしようもない食欲に襲われること、ありませんか?
そして、その衝動に負けてドカ食いしてしまい、「またやっちゃった…」と自己嫌悪に陥る。
その気持ち、痛いほど分かります。
私も、何度も、何度も、そのループに苦しめられてきました。今でもそうです。
でも、もし、その抑えられない食欲が、あなたの体が本当に栄養を欲している「本物の食欲」ではなく、ストレスや心の疲れが生み出した「偽物の食欲」だったとしたら…?
今日は、この厄介な「偽物の食欲」の正体を暴き、それに振り回される毎日から抜け出すための、具体的な3つの「心のスイッチ」についてお話しします。
このスイッチを知れば、あなたはもう、食欲を「敵」だと思う必要はなくなります。
自分の心を、穏やかにコントロールできるようになるのです。
「偽物の食欲」が生まれる、2つの理由
まず、敵の正体を知りましょう。
なぜ、私たちは「偽物の食欲」に支配されてしまうのでしょうか。
それには、主に2つの理由があります。
① ストレスホルモン「コルチゾール」の暴走
私たちがストレスを感じると、体は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。
これは、ストレスと戦うために体を臨戦態勢にする大切なホルモンですが、
同時に「インスリン」の働きを邪魔し、甘いものや脂っこいものを無性に欲しくさせるという、厄介な副作用を持っています。
つまり、「イライラすると、ケーキが食べたくなる」のは、あなたの意志が弱いからではなく、ホルモンの仕業だったのです。
② 幸せホルモン「セロトニン」の不足
「セロトニン」は、心の安定や幸福感をもたらす、大切な脳内物質です。
これが不足すると、私たちは不安になったり、気分が落ち込んだりします。
そして、脳は手っ取り早くセロトニンを増やそうとして、糖質を摂るように命令するのです。
糖質を摂ると、一時的にセロトニンが分泌され、ホッとした気分になります。
これが、「疲れると、甘いもので癒されたくなる」の正体です。
つまり、あなたのドカ食いは、「心がSOSサインを出している証拠」。
決して、あなたがだらしないからではないのです。
まずは、そうやって自分を許してあげることから、始めましょう。
心のスイッチ①:「15分の法則」で、衝動をやり過ごす
「食べたい!」という強い衝動が襲ってきたら、まず試してほしいのが、この「15分の法則」です。
「偽物の食欲」の衝動は、実はそんなに長くは続きません。
ピークは、長くても15分程度と言われています。
だから、衝動が来たら、「よし、15分だけ待ってみよう」と心に決め、食べることから意識をそらすための、全く別の行動を、すぐさま起こすのです。
《意識をそらす行動リスト》
一番のおすすめは「歯を磨く」
口の中がさっぱりすると、食欲が不思議と落ち着きます。
「今から何か食べたら、また磨かなきゃいけない」という気持ちが、ブレーキになります。
丁寧に磨くと、さらに効果大!私は、これを実践中!
温かい「紅茶」を、ゆっくり淹れる
実は私、コーヒーが苦手で…(笑)。
なので、そんな時は、いつも家に常備してあるティーバッグの紅茶をマグカップに入れて、お湯を注ぎます。
立ち上る湯気と、紅茶の良い香りをゆっくり楽しんでいると、不思議と「食べたい!」という気持ちが、どこかへ飛んでいってしまうんです。
好きな音楽を1〜2曲、集中して聴く
歌詞をじっくり味わったり、目を閉じて楽器の音に耳を澄ませたり。
音楽の世界に没頭することで、食欲を忘れることができます。
ベランダに出て、深呼吸をする
外の空気を吸い、遠くの景色を眺めるだけで、気分は大きく変わります。
これも、おすすめです!
ポイントは、「食べること」から物理的にも、意識的にも、距離を置くこと。
15分後、もしそれでもまだ「お腹が空いて仕方ない」と感じるなら、それは「本物の食欲」かもしれません。
その時は、ナッツやヨーグルトなど、体に良いものを少しだけ食べましょう。
でも、多くの場合、衝動は嘘のように消え去っているはずです。
心のスイッチ②:「感情ノート」で、本当の気持ちを吐き出す
「偽物の食欲」は、あなたの「満たされない心」の叫びです。
その叫びに、食べ物で蓋をし続けるのではなく、一度、正直に向き合ってみませんか?
用意するのは、ノートとペンだけ。
「食べたい!」と思った時、食べる前に、今、自分が何を感じているのかを、ただ書き出してみるのです。
《書き方の例》
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「夫の何気ない一言に、すごくイライラした。むしゃくしゃする!」
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「子供の将来のことで、漠然とした不安を感じている。胸がザワザワする」
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「今日は一日誰とも話さなかった。なんだか、すごく寂しい」
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「仕事でミスをして、落ち込んでいる。自分はダメな人間だと感じてしまう」
ポイントは、綺麗に書こうとしないこと。 殴り書きで、大丈夫。
誰にも見せるものではありません。 自分の感情を、ただ「見える化」するのです。
すると、不思議なことに、
「そっか、私、イライラしてたんだな」
「寂しかったんだな」 と、自分の本当の気持ちに気づき、客観的に見つめることができます。
そして、自分の感情を客観視できた時、脳は少しだけ冷静さを取り戻します。
「これは、お腹が空いているんじゃない。心が疲れているんだ」と分かれば、食べ物で解決しようとは思わなくなります。
書くだけで、気持ちがスッと軽くなる。
これは、心理学的にも「筆記開示」と呼ばれる、非常に効果的なストレス対処法です。
あなたの「偽物の食欲」の、根本原因にアプローチできる、最高の武器になります。
心のスイッチ③:「ご褒美リスト」で、食べる以外の幸せを見つける
私たちは、あまりにも長い間、「食べる=幸せ、ご褒美」という、強力な刷り込みの中で生きてきました。
その刷り込みを、少しずつ、上書きしていきましょう。
あらかじめ、「食べること以外で、自分が心から幸せを感じること」のリストを作っておくのです。
これを、私は「幸せのご褒美リスト」と呼んでいます。
《私のご褒美リスト(例)》
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好きな香りの入浴剤を入れて、ゆっくりお風呂に入る
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ちょっと高級なハンドクリームで、丁寧に手をマッサージする
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昔好きだったドラマや映画を、1話だけ見る
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好きな雑誌を、何も考えずにパラパラめくる
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近所の公園まで散歩して、季節の花の写真を撮る
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飼っているペットを、心ゆくまで撫で回す(笑)
ポイントは、「お金や時間がかからず、すぐにできること」を、たくさんリストアップしておくこと。
書かなくても心の中に置いとくだけでいいんです。
「ああ、疲れたな。何かご褒美が欲しいな」 そう思った時、お菓子の袋に手を伸ばす前に、このリストを思い出してください。
そして、「今日は、このご褒美にしよう」と、別の選択肢を選んでみるのです。
食べることで得られる幸せは、一瞬です。
でも、自分を丁寧にケアすることで得られる幸福感は、長く、深く、あなたの心を満してくれます。
そして、その幸福感こそが、心の安定をもたらす「セロトニン」を、自然に分泌させてくれるのです
あなたは、もう食欲に支配されない
「偽物の食欲」は、あなたの敵ではありません。
それは、あなたの心が発する、大切な「SOSサイン」です。
そのサインに気づき、
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【スイッチ①】15分だけ、別のことをして待ってみる
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【スイッチ②】ノートに、本当の気持ちを書き出してみる
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【スイッチ③】食べる以外の「ご褒美」を、自分にあげてみる
この3つのスイッチを、一つでも試してみてください。
あなたはもう、衝動的に食べては後悔する、という辛いループから抜け出すことができます。
食欲を、自分の力で、賢く、そして優しく、コントロールすることができるのです。
その自信は、あなたの毎日を、もっと穏やかで、もっと自由なものに変えてくれるはずです。
にこにこ🌞


